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動画編集にグラボは必要?|グラフィックボードの基本からメリットまで解説

動画編集用のパソコンにグラフィックボードが必要か悩んでいませんか?
まずは、以下の動画(NVIDIA公式チャンネル)でCPUとグラフィックボード(GPU)の処理方法の違いをご確認ください。
前半はCPU、後半はGPUが、画像を描く手順をわかりやすくデモンストレーションしています。
一目瞭然ですね!

CPUが一コマずつ順番に描画しているのに対し、GPUは画面一面の無数のコマを一斉に描画しています。
(実際には流石にCPUも一コマずつということはありませんが)GPUのやり方のほうが圧倒的に早く絵を描くことができます。演算装置であるコアの搭載数がCPUは数個程度なのに対し、GPUは数千〜1万以上(NVIDIAのグラフィックボードのコア数を確認もあるからです。CPUは大きな脳みそを数個搭載しており、GPUは小さな脳みそを数千〜1万以上持っているというイメージですね。1つのコアが行える処理の複雑さや汎用性・動作速度はCPUが圧倒的に優れているのですが、ディスプレイ出力のような一つ一つの処理は単純だけれと膨大な数の処理を行う必要があるような作業は、圧倒的なコア数で同時にたくさんの計算を並行処理できるGPUに大きく軍配が上がります。
このように、処理内容によってはグラフィックボードは圧倒的なパフォーマンスを持っていますので、場合によってはグラフィックボード搭載・非搭載で作業効率に雲泥の差が生まれます。

まずは、
  • グラフィックボードとはどのようなものなのか?
  • グラフィックボードが動画編集でどのようなメリットをもたらすのか?
基本知識を身に着けた上でグラフィックボードの搭載・非搭載または適切な製品ランクを見定めたいものです。

目次

グラフィックボード(GPU)とは?

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結論から言うと、
無くても簡単な動画編集は可能だが、あった方が快適に作業できる。動画編集ソフトによっては起動すらしない。本格的に動画編集するならグラフィックボードは必須」といったところでしょうか。

では、どのような処理や作業でグラフィックボードが活躍するのか、どうのようなユーザーや場面で恩恵に預かれるのか、もう少し詳しくグラフィックボード(GPU)について見ていきましょう。

そもそもグラフィックボード(GPU)は何をしている?

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グラフィックボードは本来、映像出力を処理するパーツです。高度な映像処理(3Dゲーム、VR、3DCAD etc.)を必要としない普通のパソコンには搭載されていません。

普通のパソコンではCPUが映像処理も兼任オンボード出力)しています。最近のゲームやVRなど本格的な3D映像はCPUが兼任するには負担が大き過ぎるので、映像処理を専門に担うパーツとしてグラフィックボードが搭載されることになります。

GPUの性質/特性とは


GPUはグラフィックス処理用のプロセッサですが、グラフィックス処理にはどのような特徴があるでしょうか?

ディスプレイ画面を表示する際、GPUはフルHDでは2百万個もある画素一つ一つの色や出力を瞬時に計算して出力する必要があります。それを一秒間に30回〜多ければ240回も繰り返し行うのですから、すごい処理量だと思いませんか?

上記の処理にはもう一つ特徴があります。全体としては膨大な量の計算を瞬時に行っていますが、一つ一つの計算は単純な計算でコンピューターにとっては大した処理ではありません。

まとめると、GPUは大量の比較的簡単な計算を同時(並列処理)に行うことに長けているということになります。

それとは対象的に、CPUは少数の複雑な計算を順番通りにこなすのが得意です。またCPUはパソコンが行う全ての種類の処理を行える必要がありますのでどのような処理でもこなせる汎用性があります。

CPUとGPUの役割を、製造工場に例えると


CPUは「全体を把握して指示を出す何でもできる工場長」、GPUは「大量の製品を同時並行で高速に作っていく製造ライン」というところでしょうか。
動画編集の場合、ディスプレイへの映像出力は補完的な要素で、肝心の編集作業はCPUが処理していたため、「動画編集に高性能なGPU(グラフィックボード)は必要がない」と言われることがありました。
しかし、現在では『GPGPU:GPUアクセラレーション』により、グラフィックボードを搭載することで、動画編集を格段に効率よく早く処理することが可能になっています。

【GPGPU:GPUアクセラレーション】とは?

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GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units; GPUによる汎用計算)とは、GPUの演算資源を画像処理以外の目的に応用する技術のことである

https://ja.wikipedia.org/wiki/GPGPU
『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
元来、GPUはグラフィック処理に特化したパーツで、機能的に非常に限定されていました。

GPUの演算能力は非常に高く、処理量ではCPUを大きく上回るのですが、高度なグラフィック出力が伴わない作業では、せっかくの能力が使われずに性能を持て余していました。

そこで、GPUの持つ高い処理能力とその性質に着目し、GPUをグラフィック処理以外にも利用できるようにしたのが、『GPGPU:GPUアクセラレーション』技術です。

『GPGPUとは、画像処理を高速に実行するGPU(Graphics Processing Unit)の機能を、画像処理以外の用途に転用すること』
〜〜〜
画像や映像とは直接は関係ない計算用途に流用するのがGPGPUで、
〜〜〜
GPUは通常のマイクロプロセッサのような広汎で汎用的な機能を持っているわけではないが、内部に多数の演算器(機種によっては数千に及ぶ)を持ち、比較的単純な数値計算を多数のデータに並列に繰り返し適用するのが得意な構造になっている。
〜〜〜
科学技術研究における数値計算やシミュレーションの一部、暗号解読や仮想通貨のマイニング、機械学習やニューラルネットワークといった人工知能(AI)の一部の分野などと相性が良いことが知られている。

https://e-words.jp/w/GPGPU.html
『IT用語辞典(e-Words)』より引用
通常、グラフィックボードは3Dの映像処理が必要ない作業(ブラウジングやオフィス作業など一般的な作業)ではほとんど動作していません。

CPUはパソコンが行っている全ての作業に関わりますが、グラフィックボードは自分の出番が来なければひたすらに沈黙を守ります。

これではせっかく高性能なのにもったいないという発想から、CPUが行っている作業の一部をグラフィックボードに処理させる技術としてGPGPUが生まれました。GPGPUはメーカーごとに独自の名称を付けており、NVIDIAでは【CUDA】、AMDでは【ATI Stream】と呼称しています。

※ どちらも同じ機能ですが、最新の技術というわけではないので、これから新たにパソコンやグラフィックボードを購入する場合は対応しているので安心してご購入ください。

※ GPGPUは、パソコン(CPU)が行っている全ての処理を行えるわけではありません。GPUの特性を活かせる特定の処理(グラフィックボードとOSおよびソフトが対応している処理)に利用可能な機能です。

グラフィックボード搭載のメリット

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動画編集作業におけるグラフィックボードの役割

  • 3D映像のグラフィック出力(GPU本来の機能)
  • グラフィック出力以外でGPUが行える処理(GPGPU
    1. レンダリング
    2. エンコード
    3. プレビュー
    本来レンダリングとエンコードは別の処理ですが、動画編集の記事ではどちらも区別なく使用されていることが多いです。本記事ではその辺りもよく解るように別々に解説します。
ゲーミングPCやVRの場合は、1)の映像出力がグラフィックボードを搭載する主な目的。
動画編集の場合は、2)のGPGPUによる編集処理能力の向上がグラフィックボードを搭載する主な目的

では、それぞれの処理の詳細を見てみましょう。

1)レンダリングが早くなる

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動画編集におけるレンダリングとは、元になる映像データに、追加したテロップ・エフェクト・音声などを統合して一つの映像データに変換することです。

レンダリングは編集ソフトのさまざまな機能を実現するためにバックグラウンドで行われる基本的な処理で、エンコードやプレビューなどのさまざまな機能も、多くの場合はレンダリングを行ったデータを使って機能を提供しています。そのためレンダリングが早くなることはさまざまな機能の性能向上をもたらします。

レンダリングとは
広義のレンダリングとは、様々な形式で記録されたデータ(たとえばHTMLならテキスト)を人間が見たり聴いたりしてわかる形に変換することを指します。

例えば、ゲームや映画で使われている、現実のようにリアルな映像を再現するレイトレーシングという技術がありますが、レイトレーシングもレンダリングの一種です。
レイトレーシングにおけるレンダリングの解説

2)エンコードが早くなる

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エンコードはパソコンへの負荷が高く、動画編集で最も時間の掛かる処理です。

エンコードに掛かる時間は、作業内容・動画の画質・パソコンの性能など様々な要素により大きく異なりますが、動画の再生時間よりもエンコードの処理時間のほうが長くかかることもめずらしくありません。

エンコードは夜中に走らせるという方も多いと思いますが、短い動画を何本もエンコードする必要がある場合などはどうしてもエンコードの待機時間が発生するので、エンコードに時間が掛かると作業が非効率になります。
エンコード中はパソコンは触らないほうが良い?
GPUエンコーディングであれば普通はCPUの稼働率は低いのでエンコード中のパソコンで他の作業をすることは可能ですが、実際にはエンコード中にパソコン作業をすると生成した完成ファイルに駒落ちなどの不具合が発生することがあるので触らないほうが無難です。
エンコードとは
エンコードとは、一般的には「符号化/暗号化する」という意味ですが、

動画編集においては、編集やエフェクトなどを加えた動画を最終的な成果物としてユーザーが視聴する動画形式(MP4、AVI、MOVなど)に変換することをいいます。(『Premier Pro』では「書き出し」と表現される作業です)

エンコードは動画編集の最後に必ず行う作業で、エンコードの設定次第で動画の容量や画質が決定される非常に重要な処理です。
エンコードの詳しい解説はこちらのサイトがオススメです。
容量の大きい動画を扱う方や、1日に何本もエンコードする必要がある人などは、「エンコード中は作業が止まったしまう」「エンコードをやり直していると納期に間に合わなくる」などが大きなストレスとなります。このような状況が想定される場合は、エンコード時間の短縮は大きなメリットになるでしょう。

GPUエンコードを使うとどの程度エンコード時間を短縮できるのでしょうか?


CPUでエンコードする場合と比較してGPUでエンコードした場合にどの程度時間が短縮できるかは、「CPUおよびGPUの性能」「動画編集ソフトの種類」「扱う動画の容量や画質」などに大きく依存するので一概に言えませんが、概ね50%かもう少し短い時間にできる場合が多いようです。

参考までに実機検証をされたサイトをご紹介しておきます。

3)プレビューがスムーズになる

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「プレビューをスムーズに表示できることを最も重視している」という編集者は多いです。

動画編集中は編集内容をプレビューで確認しながら作業を進めることになりますが、プレビューが途中で止まったりカクついたりすると結果の確認がしづらく、度々そのようなことが起こると心理的にもストレスとなり作業に大きな悪影響をもたらします。

気持ちよく作業できることを重視するのであれば、プレビューがスムーズに再生できるかどうかが大きなウェイトを占めることになります。

グラフィックボードが必要/高性能が必要になる要素

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  • 4K/8k、または高フレームレートなど高画質
    4Kや8Kの高解像データや、高いフレームレート(フレームレートとは?)など高画質になるとデータの処理量が増えますので、全ての作業に時間が掛かるようになります。
  • テロップやトランジションなどエフェクトを多様
    追加するエフェクトが増えるほどデータの処理量が多くなり、GPUへの負荷も増加します。
  • 3DゲームやVRもする方
  • 3DゲームやVRなど動画編集以外にもグラフィックボードへの負荷が高い用途に使用される方はグラフィックボードを非常に有効に利用できます。
  • マルチカム撮影などで元データの容量が多い方
  • マルチカム撮影も複数の映像データを同時に編集しますのでデータ量が大きくなります。

Windowで動作する代表的な動画編集ソフト

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ソフト
GPU依存度
特徴
主にCPUに依存。機能によってはGPUも利用するが高性能なグラフィックボードは不要。
プロ向け。マルチカム編集に便利。編集スピードが早く動作が安定しているのでTV報道などで使われる。
GPUによりかなり快適になる。
あらゆる編集が可能。Macでも動作する。
GPUに依存。高性能なGPU無しでは起動すらしない
主にカラーグレーディングを行うためのソフト。機能は豊富だが、操作性にやや難あり。

まとめ

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以上、動画編集におけるグラフィックボードの役割やメリットを解説しました。

趣味程度の動画編集であればグラフィックボードは必要ないかもしれませんが、本格的に編集したいということであればグラフィックボードは必須です。

ただ、どの程度の性能のグラフィックボードが必要かは、さまざまな条件や個人の感じ方によって大きく変わりますので、予算や自分の動画編集のスタイルなどいろいろ考慮してじっくり検討してみてください。

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